どうして。そんなに簡単に前線へ向かうといえるの?
どうして、そんなに簡単に生命を捨てるかもしれないところへ向かうって言えるの?

それは忍びだから・・・・・・。分かってる。
でも梓さん、あなたは医療部の長なのに・・・。







中枢に属すということ 5



「なぜって?少しでも実力のあるものを前線に出さないと里は滅びる可能性があるわ。それに、できるだけ正規部隊の中忍以下のものを里や一般人の警護に回そうとすれば必然的にそうなるわ。私も前線に出ないといけないしね。」そういう梓さんの言葉。

それは一忍びとしては当然の言葉。でも、里の中枢を司る人にとっては少々軽率な言葉だとサクラは思った。どうやら、それは顔に出てしまっていたらしい。サクラは変化もしていないので普段の姿だが、
「もしかしたら、医療部の人間にしては少し軽率なことを言ったってサクラは思うわね・・・。でも、私たち忍びは戦うことや護ることが主な仕事。戦うときに重要なのはどうやったら、仲間を死なせずに勝つということ。暗部は本来里を護るために最前線で戦うのよ。普通の忍びからしたら人間ではないといわれてもね・・・。」ここで一端話を区切る。総隊長の手前、あまりこの場では話さないほうがいいという判断なのだろう。とりあえず、上官不服従になって処罰されるのも嫌だし、今はそんなことも言ってられない状態なのでサクラは「分かりました」と返事した

実際、この場には他の暗部もいる(一般の暗部もまたそれぞれ、報告等で出入りしているから)。その全てがナルトのことを知っているわけではない。そういうことなのだ。






そうして朝日が昇ってきた7時ごろ、瞬夜の「各々、未の刻までに戦闘準備・その他を完了してくれ。では、散」の言葉で解散した。



サクラもいったん家に帰る。 でも、いったん実家に戻るべきか凄く迷う・・・。

自分が下忍になる前は、里の中心に程近いアパートで家族とともに暮らしていた。だけど、下忍になってすぐ、祖父が倒れたため、両親は実家に戻った。

春野の家は・・・代々続く「火葉神社」の神官の家。忍びになるということは、死と常に隣り合わせの生活。そして、穢れとも隣り合わせだ。忍びという職業は神域に穢れをもたらせやすいということで、春野の家では下忍になったら家を出る慣習がある。祖父が倒れる前、父は、忍びではなかったが、「古文書が好きだからね・・・。」という理由なのか、はたまた、他の理由があったのか、アカデミー付属の木の葉図書館の司書をしていた。木の葉には、一般人が使える木の葉図書館と、中忍以上が使える忍術図書館、そして火影邸に存在する禁術書庫の3つの公共の図書館が存在する。(3つ目は暗部になってからでいるするようになったけど・・・。)そして、母は祖父が倒れるまで特別上忍だった。その為、街中のアパートで暮らしていたのだ。そして、サクラが下忍になり、祖父が倒れたのでサクラだけが未だそのままアパートで暮らしている。

だけど、今回は家に帰ろうと思った。こんなの暗部に入ってからは初めてかもしれない。いつもは仕事が忙しいからって、帰らないから・・・。もしかしたら、「死ぬ」かもしれない。そう思った。だからなのかもしれない。実家に帰ろうと思うのは・・・。苦しいときの神頼みなんてと思うけど、生きて、彼と過ごしたいと思うから。
そう思いつつ実家への道をたどる。里の中心からかなり離れたところにあるため、歩く少し早めに歩いたとしても30分強はかかる。

そうして、サクラはものすごく久々に家に帰った。ほぼ半年振りである。





「ただいまぁ。」
神域から遠い方の玄関の戸を開ける。母のモモカが客間から出てきた。「おかえり、サクラ」。

「客間から出てきたって事は、お客さん?」そう聞くと、「そうよ。お父さんの大事なお客様。ちょっと朝早いけど来ていらっしゃるわ、朝食食べてくでしょ?」と・・・。

久々に母との朝食。いつもよりゆっくりと食べる。里のこと、サスケのこと、ナルトのこと。次々にいろんな思いが湧きあがってくる。それを、任務で悩んでるのかと思い、久々の母娘の朝食なのに、サクラがいつも以上に静かなのでモモカは声をかけた。「サクラ、任務が忙しいのは分かるけど、もう少し頻繁に帰ってきてもいいのよ」 もうそれは、就職し、独立した娘にかける言葉だった。元々特別上忍として働いていた母。祖父が倒れなければ、まだ忍びとして生きていたかもしれない母・・・。そんな母に自分が暗部だって言って何になるのだろう・・・。父は、そんな母を好いていたけど・・・。それから、数分後モモカは何かを思い出したように言った。「サクラ、そういえば、神社の森がね、ざわついているの・・・。木の葉が襲われる前触れはいつもざわついていたから、サクラも気をつけてね・・・。」
神社の森がざわついたら何かの前触れ・・・。これは春野の家に伝わっている伝承だ。父は、母を好いていたけど・・・。でも、一般人と忍びの壁それを実感しながら、どうしても言えないことがあるのかもと思った。










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