俺もナルトも分かっていた。いつかはあの子も知らないといけないのだと・・・。
でも、知ってしまったあの子はどうするのか・・・。
それでも彼女は必要だ。上層部に食い込むためには・・・。彼女の頭脳と忍術は役に立つ。
中枢に属すということ 1
草木も眠る丑三つ時。ナルトは見知った気配を感じて目を覚ました。
自分の隣にはつい最近恋人同士になったサクラが寝ている。
サクラを起こさないように気を使いながら、寝室を抜け玄関の戸を開けた。
そこにいたのは下忍時代同班だった、そして己が信頼する部下の一人うちはサスケだった。
「何かあったのか」とナルトは低く問うた。
夜分遅くにサスケがナルトの表の家にまず来ることはない。しかも、サスケが身に纏っているのは暗部大隊長としての忍び装束だ。
これで何もなかったら、完璧にサスケを甚振るのだが、サスケが纏っている気は思いっきし暗部のそれで・・・。
おかげでナルトもサクラに気を使いながら、暗部総隊長としての自分に意識を変える。
「雨・草・雲・霧、そして音の残党が早くて明日夜半にこちらに向かってくるとの情報が入った。規模は1000人は下らない。今、陰と十六夜が策をたててくれている。後1時間もすれば詳細なデータを基に会議を始めれる」
簡潔で的を得る説明。さすがサスケだと思いながら、なぜ式紙を使わなかったのかと問う。
「五代目が気を使った。それに、頃合だろってさ。いずれサクラはこの里の本当の裏を知らなければならない。今は桜樹として、暗部でも動いているが。いずれ里の中枢を率いる若しくはその補佐に必要な忍びであることは変わりない。その為に参謀情報部(参報)と医療部に入れたんだから。知らせる時が多少早まったとしてもだそうだ。」
その報告を聞きながらナルトはとにかく考えた。考えをまとめつつサスケに指示を出していく。
どうやったら被害を最小限するべきか。ただでさえ人員不足が続いている以上、人的被害は少なくしなければならない。
「そうか。今回のは俺らにとってもサクラにとっても正念場だ。里の存続がかかっている。昼までに迎撃体制を整えるしかないな。あと、里外任務中の小隊については、暗部以外に関しては今日の昼12時までに確実に戻ってこれる班を除き一両日中に帰還予定の班は里外の宿場町に待機。ただし、元暗部構成員は、俺から可能な限り帰還命令を出す。後・・・すでに引退している桜月には俺がじきじきに動く」
ナルトは脳裏にサクラの父親でかつて暗部大隊長だった、春野風流の姿を思い浮かべる。
4年ほど前、自分たちが下忍になるのと同時に忍びであることを辞めた風流。
父であり、木の葉神社の神主である桃源が病に倒れてからというもの、神主として木の葉の里の神域を護ってくれている。
彼や桃源がいるからこそ、神を宿し本来神の化身であるナルト(九尾・火の国の守り神)・シカマル(狼・大地の守り神)・キバ(森の王・九尾の眷属)の三人が動けるのだ。
「了解した。だが、二重生活者はどうする。俺は、表の立場上、こっちで動けるが、ほかのやつらはどうする。」
そういえばそうだ。現在暗部の中で幹部級つまり中隊長以上のものは、アスマ・イタチ・ハヤテ以外表向き正規部隊に属している。
サスケは表向きイビキのところで数ヶ月から1年以上の再教育というか洗脳されていることになっているから、暗部として動ける。
だが、九尾の襲来・うちは一族の木の葉への裏切りとその報復・大蛇丸の木の葉崩しが数年おきにあった。そのためここ十数年以上木の葉は人手不足が続いている。
そのため、部署を複数兼任している忍びが多い。
つまりいろんな意味で優秀な人間は里の中枢に関わることが否応なしに多く、部署ごとに通り名をつけることが多いので、いくつかの通り名を持っていることがざらだ。しかもそれは自分たちにそれは集中している。
ナルトが次々と指示を出していく。だけどその指示には少し迷いも混ざってきていた。
「中忍以下の二重生活者については、暗部として動いてもらうしかないだろう。里長の許可が要るけどな・・・。問題は里内に戻って来れない二重生活者か・・・。」
そう、暗殺特殊戦術部隊総隊長は里内の有事に関しては火影より権限を持っている。最終的には火影の決定に従うことになるが、有事に関してどう動くかは結局なるとの判断に任せられているのだ。
「もうどうすればいいかわかんねぇ。」
何度こういう状態に里が陥っても、結局ナルトは迷ってパニックに陥る。そういうときには、ナルトを落ちつかせなければならない。
それが最優先事項だと知っているサスケは意を決して、ナルトの名前を呼ぶ。サクラに聞かれても仕方がないと思いつつ・・・。そして里にいる忍びの情報も与える。
「ナルト、ナルト、少し落ち着けって。ナルト、いや、総隊長。今二重生活者で里内にいるのは、月組が特別諜報隊員を除いた全員。そして、各部署の幹部級が数名のみ。暁やと音崩しにかなり割いてしまっていたのが痛手となるが、暗部も相当数いるし、特別上忍のうちゲンマやアンコたちが今里に帰還しているという情報が入ってきている。後は名家旧家の家長やその家のトップクラスが動けばいい。蛇の木の葉崩しのときのように。」
冷静なサスケの声音。いくら暗部総隊長とはいえパニックに陥っていた自分をサスケやほかの月組の仲間は冷静に手助けしてくれる。ときおり自分で戦術が組み立てれないときはパニックに陥りやすいことを自分でもわかっていたのに肝心なところでどうやら治っていないらしい。
「どうすれば里を最小限の犠牲で護るか・・・。それが暗部総隊長の仕事なのに情けねぇな」
そう、サスケに返すと、
「それがお前のいいところだ。それに俺らは常に里を第1に考えろだからな。皮肉だよ。本来里第1に考えるべき上層部と警務部隊を多く排出した一族は共に私利私欲に走った挙句護るべき里に損害を与えその被害者が里を護るとはな。」
サスケの自嘲するような返事が返ってきた。一族がしでかしたことが大きいのは分かってこの場にいる。そういう意味もこめられてるのは知ってはいるが・・・。
不意に突然声をかけられた。
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