覚悟はできているはずだった。だけど、仮面が落ちたときに思ったのは、なんで、変化しておかなかったのだろうだった。
顔を見せてしまった相手は表では元上司で、素行はともかく、一応尊敬はしていて…。でも、詰めがあまりにも甘くて…。そしてイルカの思い人で…。
だからこそ、生きて戻らないと…。最前線に戻らないと…。皆に顔向けできない。
裏の顔をさらしてまで、応援に来てくれた2人には特に…。
戦いが終わり、入院しているとき、ふと、イルカが言ってたことを思い出した。
点と点がようやっとあいつに関してはつながった。
イルカは俺にそれとなく、ヒントを出していた。イルカのことだから、他の人が気づきづらく、そして、頭脳労働の点ではイルカとは格段に劣る俺がそのヒントから答えを導き出すのは、いつになるのかが分からない状態で。
それでも、メッセージを出し続けていた。
そして、それは、今は亡き師匠の想いで…。
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仮面のカランと音がする。
その音が、カカシの感覚を現実に引き戻す。
今、自分が戦わなければ、サスケも、自分も行き着く先は死だ。
相手の忍びも、自分が刺した相手が、倒れた途端、標的を変える。どこからか、イルカの声が聞こえてきたが、とにかく自分の目の前の敵に集中する。暗部刀を握り締めつつ、片印を結んだ。水を刀に巻きつける。暗部時代、暗殺に使った手だった。他の敵は他の応援の暗部がやってくる。応援の暗部の気配がすぐそこにいるからだ。
だが、こいつに限っては、普通に戦うことはできない。この手を使うことで、自分も負傷する確立は格段に挙がる。だが、今はそれどころじゃない。
水を巻きつけた刀で、相手に向かっていく。だが、相手のほうが体力差で勝っていた。何合か打ち合い、術でも、応戦しながら、腹部をやられながらカカシは向かっていった。
どれくらい打ち合ったのかはカカシには分からない。
そして、ようやっと相手に刀を刺すことができた。刀に水をまきつけているということは、刀を体に刺された場合、刀の周囲が水浸しになる。それは威力の弱い雷遁でも、暗殺が可能になるということだった。
そして、カカシは朦朧としながら、雷遁を放った。
そして、倒れた。だが、倒れて当たるはずの地面には、当たらなかった。誰かに支えられている感じがあった。
そしてカカシは聞いた。思い人の声を。
「後は引き受けます。カカシさん。先に病院へ行ってくださいね」
そして、カカシは意識を失った。
イルカは、カカシを支え、共に来た医療部隊の面々にカカシとサスケを引き渡すと、暗部刀を抜いた。
それから、数時間。夜が明け切る頃。
決着はついた。
里の周囲の森や演習場など戦場になった場所には死体を焼く劫火がいまだに燃えていた。
それを火影岩から見ながら、ナルトは里の復興に頭を巡らせながら感傷的になる。幸か不幸か、里は度重なる災害で、どうすれば早く復興できるかの術を身に着けている。
それに関しては綱手に任せればいい。
「瞬夜、チャクラまだ残ってるか」
ふいに傍に現れた陰月が声をかけた。
まだ、一安心というわけではないせいか、陰月の声が硬い。それを感じ取り、ナルトも自然と声質が硬くなる。
陰月には、戦闘の指揮官以外にももう1つ仕事があった。諜報部との連携による背後捜査だ。ここまで大事な奇襲となると、どこかで糸を引いている人物がいることぐらいの予想がつけられていた。陰月が、この場に来て瞬夜にチャクラが残っているかと聞いてきたということは、誰が黒幕かというめどがついたのだろう。
「あぁ。で、首謀者は分かったのか」
「もちろん。で、朱月から。ばれて逃げられたそうだ。首謀者は― 次期雷影ソウウンだ。」そう、陰月は言った。次期雷影ソウウン。雷の国の現暗部総隊長であり、現雷影の甥にたる。直接は、ナルトもあたったことはない。月組み幹部並みの実力を持ち、木の葉以外の現役の忍の中では、風影の兄カンクロウと互角の実力者だと言われている。
確か、少し、前時代的な考え方を持っているとは聞いていたが、まさか、今の時期に木の葉を襲うとは・・・。
確かに、今の木の葉は戦力的に弱っている状態が長年続いている。実質的な実力者は暗部との兼任が多い。一般の忍の実力がいまいちだが、その分手配書に載っている忍びはレベルが高いということは、ほとんどどの隠れ里でも長年忍びをやっていれば分かっている状態だ。
「それから雷影から。ソウウン抹殺依頼が来た。事実上の首切りだろう。今、雷の里は、おつむが少し弱いソウウン主導で大勢の忍びを失った。このままじゃぁ、忍五大国から外れるのは惜しいと見える。その上で、不戦条約を結ぶつもりらしい」
さすがに、参報の副長だ。もう情報が整っている。よくこの短時間に戦闘の指揮を執りつつ、情報を仕入れてきた。しかも雷影からの極秘依頼とは・・・。
ナルトも瞬夜としての意識に変える。すばやく手持ちの装備を確認すると、人一人の暗殺には十分な装備が残っていた。
「じゃぁ、雷影のお望みどおりと行くか。んじゃぁ、行ってくる」
それから、数時間後、ソウウンの名が消えた。
そして、1日後、カカシにとっては予想外の。
月組みにとっては覚悟を決めた展開が待っている。
だが、カカシはそれを知らずに病室で寝ていた。
そして、1日後、カカシは木の葉病院の暗部専用棟の病室で目を覚ました。
隣室では暗部関係者が、入院しているのだろう。ひきりなしに会話が聞こえる。その中にはイルカと死んだはずのアスマの声もしていた。
「ほんとにいいんだな。サスケ。お前のことをあいつに言って・・・。今ならまだあいつ寝ているから隠しとおせる率も高いんだぞ」
「そうです。カカシさんにはまだ早い気もします。」
カカシにとっては意外だった。だが、さっき(?)の戦闘で納得もしていた。なぜ、彼らがそこにいるのか・・・。
そして、サスケと朧月が同一人物ということを。だから、本人たちが話すまで待とうと思った。イルカが早いというなら時期を待つだけだ。
暗部大隊長朧月。 木の葉崩しのしばらく後、五代目火影が就任した後に、里から長期任務を受けた。今思い返してみると、長期任務に出た時期とサスケの里からの出奔は重なっている。そして、サスケが音を崩した時期に、朧月は破壊工作任務で潜入中といううわさも立っており、参報の長であるイルカもカカシにその事実をさらりと肯定した。
つまり、サスケは暗部だ。自分より過酷な状況で責も重い。
暗部がどういう存在かカカシは分かっている。
そして、大隊長朧月・・・。彼はカカシが暗部を外れる直前まで、自分の直属の上司だった。その当時階級は同じ中隊長という役職だったが、実力は上を行っていた。同僚というより、自分は上司として見ている部分のほうが多かった。
最初は彼のほうが経験年数も低くて。部下という位置づけだった。だけど、鍛錬を日々行う彼は、いつの間にか自分を超え、共に行うときの戦略などの作戦はいつしか彼が担っていた。それが、いつしか同僚でも、上司と部下の関係になったのはいつからだっただろうか。それを認識してあまり日が立たないうちに、カカシは暗部除隊を三代目から言われた。そして、初めて受け持った下忍は協調性がない個人プレーが色濃い3人で・・・。だけどカカシが協調性のないガキと思っていた子が自分の上司だったという点では驚いてた。
久々の更新です。はい。ソウウン元は北条早雲です。いやぁ、道雪と迷ったのですが、なんかゴロで・・・。というか、道雪だと雷切伝説があるからどうしようか迷ったんだよね・・・。
2008・3・5
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