裏切りを直前まで見抜けなかった。

仲間と信じていた上忍たちの裏切りを・・・。

彼らは暗部候補だった。

カカシさんとまではいかないけれど、実力はあった。

もう少し実力をつけたら、総隊長命で、暗部入隊試験を受けさせる予定だった。



風猛る時 3


カカシは自分が呼ばれたことに驚いた。朧月大隊長とは、何度かコンビを組んだことがある。下忍担当後はあんまりなかったが、その前から数回コンビを組んでいた。
そして、あの時あの場所にいなかったら、あんな量の任務は押し付けられなかった・・・。だが、イルカが信頼している暗部の幹部の一人ということも知っていた。
でなければ、3代目時代からの長期任務は成功しない。あの時期に長期任務に行く羽目になったのは大変だっただろうと、カカシは思う。あんなことがあり、暁が動いていた時代に、里から離れるのは最小限にしたかったはずだ。だからこそ、大隊長が行く羽目に陥った。


カカシが呼ばれた後も10人以上もの忍びが呼ばれた。その中にはカカシが知っている限り暗部として会っているもの、上忍としてだけしか動いていないもの、上忍でもいずれ暗部にという裏で暗部候補に挙がっているものなど、カカシと朧月を含め総勢16人のチームだ。


里の南東部。そこは、
里中心部から一番離れている。だが、よほどの情報を持っていなければ、里南東部からの攻略は難しい。

なぜならそこは、暗部の独身者用住居に近く、また、参報の罠実習場所でもあり、そこの近くには、暗部専用の演習場が点在しているのだ。だからこそ、他里には知られてはいないが、少人数で攻略できる場所だった。どんなに地形図等で攻略しようとも、その場は木の葉の忍びでも、危険な箇所だった。

そこに駆けていきながら、朧月は作戦を伝える。上忍レベルの陰話ー送受話を使う。
陰話とは、口に出さずとも意思を伝える術だ。いくつかのレベルがあり、中忍以上が使う送受話、暗部で使う信心話、暗部中隊長以上の阿吽話、そして月組のみが使う以心伝心話が存在する。この送受話レベルなら全員扱える。そして、他のよりチャクラの消耗も少ない。

「里南東部は、皆も知ってのとおり、ほとんどが演習用の危険区域だ。攻撃を仕掛けるとすればただ1つとある箇所を順に通れば、うまく危険区域を脱出は可能だが・・・。今回はその通路にお前たちを配置する。こちらに来る忍びの情報は1000人規模のうちの25名。皆にとってもきついが、一番の精鋭がくると思われる。向こうにとっては、この精鋭が突破すればかなりの数をこの場所に裂くはずだ。だからこそ、この地点は重要になる。では、役割分担を言っていく。


そう言いつつ朧月は後ろを振り返る。殿(しんがり)はカカシだ。

カカシもそれを聞いている。


と、そのとき上忍の1人シブキから、声が上がった。
「大隊長、その情報は信頼できるのですか。ただでさえ、私たち上忍にはあなたのことが伝わってきませんし、自分には、なぜ、こんな人について、
殲滅をやらないといけないのかが分かりません。」
この言葉を聴いたとき、カカシはイラついた。なぜ、こんな大事なときにそんなことを言うのかと・・・。

作戦中に上司への不満を出すということは、反逆罪に問われても仕方のないことだった。特に暗部の任務では。作戦への進言ではなく、この忍びは上司に対しての不信を表明したのだ。

「そういうということは・・・「朧月大隊長は、そんなに信頼できないか。俺は彼が長期任務に出る前にコンビ組んだこともあるが、彼は優秀だ。なにより、この場でこういう不信を出すと言うことは、今回の迎撃作戦を指揮している総隊長や参報の梟上忍への不信ひいては火影に対する反逆と最悪受け取られてもいいということだが・・・」

朧月が言いかかけたところに、カカシは、つい言ってしまった。
だが、カカシの言葉に反発したのはシブキではなく、ハヅキという、暗部候補として裏で挙がっている上忍だった。
「ですが、俺らは信頼できません。むしろ、こんな奴がいなければ・・・」
そして、それに同調するようにさらに6人の忍びもうなずいている。
その6人には最近、暗部に入ったばかりの年若い忍びもいた。
それを見たとたん、はめられたなと思った。やはり、総隊長やイルカの言った通りになったか・・・。
待機所を出る前にぼそりと、瞬夜がカカシ阿吽話でにこぼした。当然、朧月にもこれは伝えられているだろう。
「万一裏切り者が出るとしたら・・・。それは、朧とカカシが一番きついかもしれない。」
そう言った、総隊長。つまり、こちらはやはり、防戦一方なのだと・・・。

「こちらもできるだけ早く行く。だが・・・、それまでは持ちこたえてくれ。俺はお前らを失いたくない」

分かっていた。だけど、そうこうしているうちに、暗部の演習エリアに入ってきていた。ここまでくると、里の境界まであと少しだ。
朧月も一瞬考える。ここでどうすればいいのかを・・・。

敗者の責任は自分、ひいては総隊長の責だ。どうにかして勝機をものにしないと・・・。

今、この状態で、まともに自分の指示を聞くのは7人。そのうち5人を拠点に配置しないともう、間に合わない。
幸いにも、テンゾウがいる。テンゾウがいるのなら、それに賭けるしかない。自分に叛旗を翻していない他の忍びも暗部の兼任組みだ。
今ここで全員が戦線離脱するよりは、その方が勝機がある。

「テンゾウ、他の奴ら連れて、里よりの重要ポイントに行け。そこでなんとか十六夜や秋月が合流するまで持ちこたえろ」
そう指示して、隣まで来ていたカカシと反逆者達を連れ、里の境界まで近づく。

その場所は暗部であれば誰でもが知っている恐怖の場所だった。幅2メートルもあるかないかの南東部唯一の安全地帯の通路。そこにしか、朧月とカカシの安全な場所はもう残っていなかった。
だがそこは、裏切り者を倒さないと、後から来る襲撃者の餌食になる場所。前門の虎後門の狼状態の場所。そして、自分たちがうまく立ち回らないと罠に嵌るそういう場所だった。

「里はお前たちを許さない。これよりは、お前たちを抜け忍として扱う」

そう朧月が宣した途端、戦闘は始まった。


戦闘場面の始まりですね・・・長かった・・・。